Vol.9

減速機におけるSF(サービスファクター)と負荷係数とは

サービスファクター(SF)とは

サービスファクター(SF)とは「余裕」や「安全率」のことであり、出力トルクに対して、何倍のトルクを出せる能力が減速機にあるのかを示します。サービスファクターは、「サービスクラス」や「使用係数」によって決まります。

<具体例>
①モータと減速機の能力が同じ場合:SF=1.0
②モータの能力に対して減速機の能力が1.3倍の場合:SF=1.3

サービスクラスとは

サービスクラスとは、運転条件(間欠運転・連続運転)や、その時間によってモータのクラス(レベル)分けをしているものです。
このサービスクラスによって、サービスファクターの数値が異なります。例として、AGMA(米国歯車協会)の規格を下表に示します。

サービスクラス合計3時間まで/日
断続運転
3~10時間/日
連続運転
10時間以上/日
連続運転
サービスファクター
Iモータの定格をこえない均一な荷重、または軽、中程度の衝撃荷重モータの定格をこえない均一な荷重、または軽い衝撃荷重1.0
※クラスⅡをⅠとした場合は0.7
激しい衝撃荷重中程度の衝撃荷重モータの定格をこえない均一な荷重、または軽い衝撃荷重1.4
激しい衝撃荷重中程度の衝撃荷重2.0
※クラスⅡをⅠとした場合は1.4

使用係数とは

使用係数とは、減速機の使用頻度や負荷の変動を考慮して設定する指標です。使用時間の割合や負荷の変化の程度に応じて決定されます。使用係数が大きい場合は、減速機の耐久性が低下してしまうため、耐久性も考慮した適切な使用係数の設定が重要です。使用係数が大きければ耐久性が低くなるため、サービスファクターも低くなります。

負荷係数とは

負荷係数とは減速機に掛かる負荷の目安値のことです。値が大きいほど減速機にとって負担が大きく、小さいほど負担が小さくなります。

<具体例>
ある減速機メーカーが、1日8時間、負荷変動がない状態で運転される場合の負荷係数を1.0と定めた場合で考えます。
これを基準として、減速機をより長時間運転したり、瞬間的に大きな衝撃が加わったりすると、減速機にとって過酷な条件となるため、負荷係数は「1.3」「1.5」のように大きくなります。

サービスファクター(SF)と負荷係数の注意点

使用される装置の種類や大きさ、運転条件により異なり、また、各メーカ、各減速機によっても数値の設定が違うことがあります。製品カタログで、使用可否を確認する必要があります。

  • 河野 宏二

    スターライト工業株式会社 技術部 開発技術3課

    河野 
    宏二

    金型の設計・手配・育成や減速機の設計などを行う。スターライトオリジナル材料『エスベア』の開発・上市、工場内で使用する自動機の設計・製作や減速機の設計など幅広く担当。減速機の開発がメイン。過去に営業の経験もあり、一通りモノづくりに関連する部署で仕事をしている。

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