減速機におけるSF(サービスファクター)と負荷係数とは
目次
サービスファクター(SF)とは
サービスファクター(SF)とは「余裕」や「安全率」のことであり、出力トルクに対して、何倍のトルクを出せる能力が減速機にあるのかを示します。サービスファクターは、「サービスクラス」や「使用係数」によって決まります。
<具体例>
①モータと減速機の能力が同じ場合:SF=1.0
②モータの能力に対して減速機の能力が1.3倍の場合:SF=1.3
サービスクラスとは
サービスクラスとは、運転条件(間欠運転・連続運転)や、その時間によってモータのクラス(レベル)分けをしているものです。
このサービスクラスによって、サービスファクターの数値が異なります。例として、AGMA(米国歯車協会)の規格を下表に示します。
サービスクラス | 合計3時間まで/日 断続運転 | 3~10時間/日 連続運転 | 10時間以上/日 連続運転 | サービスファクター |
I | モータの定格をこえない均一な荷重、または軽、中程度の衝撃荷重 | モータの定格をこえない均一な荷重、または軽い衝撃荷重 | ‐ | 1.0 ※クラスⅡをⅠとした場合は0.7 |
Ⅱ | 激しい衝撃荷重 | 中程度の衝撃荷重 | モータの定格をこえない均一な荷重、または軽い衝撃荷重 | 1.4 |
Ⅲ | ‐ | 激しい衝撃荷重 | 中程度の衝撃荷重 | 2.0 ※クラスⅡをⅠとした場合は1.4 |
使用係数とは
使用係数とは、減速機の使用頻度や負荷の変動を考慮して設定する指標です。使用時間の割合や負荷の変化の程度に応じて決定されます。使用係数が大きい場合は、減速機の耐久性が低下してしまうため、耐久性も考慮した適切な使用係数の設定が重要です。使用係数が大きければ耐久性が低くなるため、サービスファクターも低くなります。
負荷係数とは
負荷係数とは減速機に掛かる負荷の目安値のことです。値が大きいほど減速機にとって負担が大きく、小さいほど負担が小さくなります。
<具体例>
ある減速機メーカーが、1日8時間、負荷変動がない状態で運転される場合の負荷係数を1.0と定めた場合で考えます。
これを基準として、減速機をより長時間運転したり、瞬間的に大きな衝撃が加わったりすると、減速機にとって過酷な条件となるため、負荷係数は「1.3」「1.5」のように大きくなります。
サービスファクター(SF)と負荷係数の注意点
使用される装置の種類や大きさ、運転条件により異なり、また、各メーカ、各減速機によっても数値の設定が違うことがあります。製品カタログで、使用可否を確認する必要があります。