Vol.1

水中で使える減速機(グリス/防水シール不要)

グリスや防水シールが不要の、水没型ギアード電動サーボモータを開発。トルクセンサレスで水中力制御できる可能性を創出!

2022年4月より、立命館大学 加古川篤 准教授※1と共同研究を進めております。
2022年6月には、ROBOMECH(ロボティクス・メカトロニクス講演会) in Sapporoで、加古川准教授より「防水シールを用いない水没型ギアード電動サーボモータによる水中力制御」をテーマに論文発表がありました。「水中で使われている設備のメンテナンス時期の調査」や、「現在、人が行っている危険なメンテナンス作業をロボットが代行」など、あらゆる可能性を秘めています。この水没型ギアード電動サーボモータで、弊社の樹脂減速機(低摩擦ギア「エスベア®」)をご採用いただきました。

加古川准教授が取り組まれた課題とは?

水中で、物体に柔軟に接触できないことが課題でした。課題発生の原因として、下記の2点が考えられます。


 ①高摩擦ギアやシール材により関節のバックドライブ性が悪化し、水中接触作業が困難になる
モータは水没させると、電子部品が故障したり、金属部が腐食したりする恐れがあるため、水の侵入を防ぐシール材が必要になります。シール材や高摩擦のギアを使用すると、不要な抵抗によるエネルギーロスが発生、伝達効率も悪化します。


 ②トルクセンサは水中で使用不可である
金属製の高摩擦の減速機を使用する場合は、力/トルクセンサの情報をフィードバックし、力/トルク制御することで接触作業が可能です。力加減をうまく制御しないと相手物も自分自身も壊れてしまうためです。しかし、水中ではトルクセンサを使用することはできません。また、重く高価である点も課題でした。

課題を解決するために、何を実施されたのか?

これらの課題を解決するために、下記の3点を実施されました。


①低摩擦ギア(減速機)「エスベア®」を採用
低摩擦が特長の弊社オリジナル材料「エスベア®」を使用したギア(減速機)を採用することにより、下記のメリットを生み出しました。
・伝達効率が向上(摩擦による抵抗が少なくなるため)
モータ電流のみからの出力トルクを推定しやすくなりました。
・高耐熱(汎用樹脂と比べ、高耐熱)


②水没モータのシールレス化
モータの重要箇所をコーティングすることで、シール材不使用の仕様に変更されました。これにより、不要な抵抗がなくなり、エネルギーロスの低減や伝達効率の向上に繋がりました。

③力/トルクセンサレスで水中力制御
ギア(減速機)には低摩擦かつ耐熱性に優れた高分子材料「エスベア®」を、軸受にはセラミックベアリングを採用したことでグリスが不要となり、水没可能となりました。また、相手物にぶつかったとしても、S-Bear DD※1のバックドライバビリティーを活かし、力/トルクセンサなしで水中力制御できる可能性が生まれました。
<手先力の計測結果>

水没型ギアード電動サーボモータの今後の可能性とは?

水没型のギアード電動サーボモータは、これまでにない画期的なものです。水中でも使用できることで、さまざまな可能性が生み出されています。
例えば、
①海、川、湖などで使われている設備のメンテナンス時期を調査
②海、川、湖などで使われている設備のメンテナンスを、人の代わりに実施
現在は人が実施していますが、かなりの危険を伴います。作業員の安全を確保できます。
③水中における災害現場での探査や調査
④農林水産漁業の作業を人の代わりに実施
農林水産漁業における生産年齢人口の減少が問題になっています。雨風による影響が発生する屋外でも使用できるため、人口減少問題の解消や、作業される方の負担軽減に繋がります。
⑤水・蒸気が発生する環境での作業を人の代わりに実施
キッチンや、浴場、トイレなどの高温多湿環境でも、使用可能です。万が一、作業される方と接触しても、安全を確保して安心して使用することができます。

このように水没型ギアード電動サーボモータには、あらゆる可能性が秘められています。気になる方はぜひご相談ください。

先進のモーションエンジニアリングで社会課題に挑戦。自動化が未来を“想造”する

ご不明点や、お困りのことがございましたら、ぜひスターライト減速機チームにお問い合わせください。私たちが皆さまの疑問、お悩みを解決いたします。

STARLITE

TOPへ戻る

商品に関するご相談や質問に関して、お気軽にお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせは06-6956-2240 まで受付時間:10:00~18:00